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北米の文系大学教員就職事情(5)

 なんとか書類審査を通過して、「残り3人」の一人となったとしよう。この3人のリストをショートリストという。ショートリストされたら(つまり3人リストの中に入ったなら)、あなたは実際に応募校に出向くこととなる(「1泊2日で交通費・宿泊費を含む費用は応募校がすべて負担」というのが普通)。

 訪問時のメニューは、(1)人事選考委員会との面接、(2)研究発表、(3)選考委員会以外の教員や院生との面談、(4)講義実技、といったようなもの。(1)と(2)が決定的に重要。学部によっては(4)も重要。

 採用する側からみれば、応募者があらかじめキチンと(1)(2)(4)を練習していたかどうかは、すぐにわかる。自動車運転免許の実技試験とおなじで、頭の中だけで「あの場面ではこうして、ああして」というのではダメで、あらかじめ練習をしていないと本番では実力が発揮できない。

 とくに(2)の研究発表の練習は必須。よく院生が間違うのは、自分の研究をトウトウと述べれば良いと勘違いしていること。それではダメなのだ。

 仮にあなたがヨーロッパ政治を専攻していて、ヨーロッパ政治の職に応募したとしよう。ということは、採用者側にはヨーロッパ政治の専門家はほぼいないはず。そういう人たちにむかってヨーロッパ政治のことをトウトウと話しても、聞いているほうは「あんたがヨーロッパのプロというのは分かるが、我々の同僚としてやっていけるのかどうか」という問いには答えていないことになる。

 あなたの将来の同僚にむかって、「私の専門はヨーロッパですけども、こういった分析手法を使っています、あるいはこういった地域を越えた大きな問題に関心を持っています」という形で共通点を訴えていかなければならないのだ。そうでなければ、将来、共同研究もできない(そして講義分担もむずかしい)一匹狼となってしまう。そんな人は、普通、雇いたくないのである、採用者側は。それに競争なので、一匹狼はますます採用されにくい。

 ということで、採用者側の視点を理解したうえで、自分の研究能力をアピールすることが肝要となる。そのうえ、制限時間内に発表をうまくまとめなければならないし、質疑応答の練習(とくにヘンテコな質問に対する練習)もやっておかないといけない。もしパワーポイントなどを使うならば、その練習も必要。

 こういった練習をあらかじめやっているかどうかで、あなたの研究発表がもたらすインパクトが大いに異なってくるのである。(4)の講義実技も同じ。この場合、実際の授業に「特別講師」として参加する。(あらかじめ、どのクラスで講義するのか、採用者側が指定する。)そして採用者側の教員が学生に混じってあなたの話しを聞くのである。「これ、ワタシはじめての講義なんです」というような態度はいただけない。あなたの講義のあと、学生の間にアンケートが配られることもある。

 要するに、採用者側は「あんた、同僚としてすぐにやっていける?」という問いを常に念頭においているのだ。ということは、実際の若手教員がやっていること(研究・講義等々)を、既にあなたはPhDを取り終える頃にやっていることが望ましい。

 そう、常に一歩先を考えている必要があるのだ。 
 
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テーマ : 教師のお仕事
ジャンル : 学校・教育

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Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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