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留学ショック

 経済学や心理学といった科学化された文系分野は別。そうでない政治学や社会学といった文系分野――より正確には社会科学分野――でアメリカ・カナダに大学院留学する人、そういった人たちはショック体験が待っているので心の準備が必要。

 えっ、犯罪心理学(Criminology)や文化情報学(Communication)?そういった新手の社会科学分野への留学組はもっと悲惨。ショックの度合いがもっと大きくなると思われる(日本ではこれらの分野は確立されていないので)。

 この留学ショック、私の体験談を以前書いた。今でもあんまりかわっていない。

 むろん語学の問題もある。大いにある。しかし、それよりも一見わかりづらいものの深刻な問題がある。それは何か?

 「大学制度の違いからくるショック」といえば聞こえがいいが、ズバリ言えば「(学問の)田舎から都会に出て来たショック」、これである。学部レベルでの訓練量が日本(低い)と北米(高い)では異なっている。後者を生き抜いてきた人たちが進む北米の大学院。そこに日本から「戦線参加する」というのだからショックは当たり前。

 私の分野である国際政治学を例にして説明しよう。

 日本の大学ではたいていの場合、法学部に政治学は所属するので、国際政治学も法学部で勉強することになる。たいていは国際政治学は一人の先生が教えている。そう、一人。多くても二・三人(たぶん外交史か地域研究の先生も含めて)。政経学部や総合政策学部でもほぼ同じ。

 で、その先生について勉強するわけ。国際政治学概論(その先生が担当)から始まってゼミを終わって卒業するまで。その上、理論関係は基本的にはアメリカからの輸入なので、教科書を使ってゆっくり学ぶ。論文を書く訓練はゼミ論文ぐらい。社会科学方法論をキチンと習えるかどうか心もとない。

 片や北米。政治学は政治学部という独自の学部があって、中規模以上の政治学部では国際政治学者は五人以上。地域研究というのは比較政治学になるので、それをいれたら関連教員は一〇以上(外交史は政治学部ではなくて歴史学部で教えている)。それらセンセーの科目を履修する際、論文執筆は必須(三・四年生科目は基本的に全てゼミ形式)。社会科学方法論も必須。おおまかにいって(もちろん例外はあろうが)、これら北米の学生、学部を終わった段階で日本の修士課程を終わったぐらいのメニューをこなしている。

 こういった訓練を受けてきた人たち、それも成績がよかった人たちと日本人留学生は北米の大学院でしのぎを削ることになる。もちろん、北米の大学院は北米の学部での訓練を前提にして組み立てられている。「ハンデもち」で日本人留学生は競争参加となる。初めはついていくのに必死状態が普通。

 いわゆる有名大学にいくと北米の秀才レベルが集まるのはいうまでもない。(極端な例と思われるが、わたしが学んだアメリカの博士課程の場合。同級生17人の中にローズ奨学生(Rhodes scholars)をイギリスでやって帰ってきた学生が3人いた。Rhodes scholarship がどれほどすごいものか、インターネットで検索されたし。) その上、北米の大学院には世界中から学生が来る。クラスの3割ぐらいは普通。学部によっては5割以上。これまた優秀なのが多い。(それと海外に出て武者修行するガッツというか、ハングリー精神を持っている人が目に付く)。

 ということで、日本から北米の大学院に来るというのは、県道での走りに慣れていたところ、急に高速道路で自動車を運転するがごとし。それも片道五車線ぐらいある高速道路を皆がスピードをバンバン飛ばしている中での運転。もう、ムチャックチャ全力走行するしかない。

 まあ、こういう状況に直面するわけ、日本人留学生は。県道から高速道路へのショック。これが留学ショック。英語できても、それは別の問題。留学ショックを乗り越えるにはオツムのエンジンをレッドゾーンまで全開するしか他なし――事故らないように注意しながら。

 これを読んでいる日本人留学生の諸君。生き延びよ!
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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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