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『料理の鉄人』と日本文化

 日本入門の講義をしばしば担当する。ガイコク人に向かって「ニッポンとはなんぞや」という話をするのである。武士道や禅、いけばなにアニメ、神道に柔道など題材は尽きない。

 が、オウチャクな私がよく学生に言うのである。「(その昔に放映された番組で)『料理の鉄人』こそがまさに現代日本を象徴している」と。

 キッチンスタジアムで「料理の鉄人」一人と挑戦者一人が、特別注文されたテーマ食材を使って一時間以内に料理をおのおの何点か仕上げ、審査員が食べて勝敗をつけるという番組である。料理の鉄人は4人いて、フランス料理、中華料理、日本料理、それにイタリア料理が一人づついる。このうち一人が挑戦者に応じる。一対一の勝負。

 『料理の鉄人』、実は英語吹きかえ版があった。名前もズバリIron   Chef。前に Food TV という料理に特化したアメリカのテレビ局で一時放映されていた。だから学生の中にも、話がわかるものが何人かいる。
 
 ここで注目したいのは、これら「鉄人」たち、すべて日本人なんである。これ、当たり前のようでスゴイ。

 まさにニッポン(ぐらい)でしかできないと思われる。フランスでフランス人の日本料理の「鉄人」が出てくるとは考えにくい。中国でもたぶんそう。アメリカで(移民ではなく)アメリカ生まれ・育ちの人間だけで世界4大料理の「鉄人」をそろえるのも難しいと思う。カナダでも同じ。

 実際、Iron Chef America というアメリカの番組がある。フォーマットを『料理の鉄人』から輸入したものだが、そこで出演するアメリカの「鉄人」たちの料理の幅は狭く、元祖『料理の鉄人』に日本料理の「鉄人」として出演していた人が「日系シェフ」として参加している。イギリス版でIron    Chef UK もあるが、内容は Iron Chef America と似通っており、いずれもアメリカ人、イギリス人だけで世界4大料理の「鉄人」をそろえていない。

 『料理の鉄人』にみうけられるようにニッポン人の中では西洋と東洋が共存できるのである。これができない文化が多い(ヨーロッパ系以外の地域)。ニッポンもその昔はなかなかできない時があった。現代はできる。

 日本文化といえば国粋主義型・復古主義型の「なにか日本古来で独自のもの」と思いがちだが、このように違う意味での日本文化のユニークな特徴もあるのである。英語で East meets West (東洋と西洋との出会い)と良く言われるが、『料理の鉄人』に代表される現象はその表現よりも East unites with West という感じ。単なる出会いではなくて、お互い協力して共にやっていけるのである。(ただし、文化そのものの交流ではなくて人間同士の東西間の交流――例えば移民など――となると、日本の場合、話はもっと複雑になる。)

 まあ、在外日本人としてニッポンを外から見つめ、ガイコク人にニッポンを説明する職業にあるものとしては、こういうことを考えるわけです。


  
 
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テーマ : 日本文化
ジャンル : 学問・文化・芸術

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性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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