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カナダでも学力低下(個人的感想)

 カナダの大学システムで教鞭をとって23年目が終った。あと2年教えれば4分の1世紀教えたことになる。

 日本では大学生の学力低下がよく指摘されてきたが、実はカナダでも学力低下を感じる。勤務先の同僚たちもそう嘆く。過去10年間にそれが顕著になったというのが私の個人的な印象。

 この前、当地の短大で30年以上教鞭をとってきた教員と話をする機会があった。彼は管理職なので、勤務先の同僚にアンケートをとると「学力低下を感じる」という返事が80%以上だったそうな。短大なので、こうなると「高校は何をやっておるんだ!」ということになる。

 私の勤務先の学部でも、例えば3年生むけの科目につき20-25頁の論文(タームペーパー)を一本書かすのが昔では当然であったが、その量は論文一本につき15頁ぐらいにまで下がっている。

 この前、たまたま卒業生(その昔、私の3年生科目を履修した人)と昼食を共にする機会があった。で、彼に尋ねた。「君が学生のころ、ボクの科目での論文は何頁ぐらいあった?」彼の答え→「うーん、たしか25頁ぐらい。」この彼に今は15頁だと言うと驚いていた。

 彼いわく、現在のそういった学生が就職したら連中は難儀するとのこと。なぜなら、上司は「わたしが君の年齢のころは、これぐらいの仕事はできたはず」という想定で仕事量を与えるが、学力が満たないので学生たちはそれをコナセナイ。となると昇進にかかわるどころか、不況になればクビを切られる第一号になってしまう、とな。ナルホド、大学の温室環境とは違って実社会は厳しい。アホには金は払わないというわけである。

 その他、昔では稀であった「落第する学生」が目につくようになった。履修科目を落第するのである。途中放棄もある。これには学力低下や「やる気の低下」現象のほか、経済事情の変化も影響していると思われる。

 近頃の北米の公立大学では「学業しながらアルバイトして生活費・学費を稼ぐ」という学生がかなり多くなった。昔は違った。「夏期休暇中のアルバイトで学費を稼ぎ、学期中は勉強にいそしむ」というのが典型的な昔のパターン。コレが崩壊して、今では学期中にアルバイトしながら大学に通うという学生が多数いる。

 アメリカの私立大学はさておき、公立大学ーーカナダではほぼ全ての大学が公立ーーではこの結果として5-6年ぐらいで卒業する学生が多くなっているのが実情。逆にいえば、4年で卒業する学生は少数派になりつつあるのだ。

 ということで学力低下は「学生の資質の低下」だけではなくてこういった環境要因も原因かもしれない。

 別の環境要因としては「学問の質の向上」が考えられないこともない。つまり、過去20年で学生がマスターしなければならない学問の質・量が増えた、だから学生が追いつけない・・ということ。だけども、である。多分これは一部の話と思われる。というのも、昔と同じ作業量を課する科目を見てみれば、この話はあてはまらないからだ。昔と同じ授業内容なのに「それについていけない学生」が増えているのである。

 いずれにせよ、同僚に会うたびに「近頃の学生の学力は落ちた」と嘆く機会が多くなった。

 これらは私のせまい経験内の話だけかもしれないが、あながち的外れではないと思う。というのも、程度の差はあれ、似たような話を全北米レベルでちょくちょく耳にするから。

 えっ、大学側の対応?大学側もやっている、いろんな対策を。その話は別の機会に。
 
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テーマ : 教師のお仕事
ジャンル : 学校・教育

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性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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