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学生からよく受ける質問:論文テーマがしぼれない(2)

で、15本ほどの学術文献を見つけることができたとしよう。
 
 さて、どうするか。「夕食の献立」の例えを続けよう。

 一品だけではなくて、数品を設定して全体としてうまく献立になっているか料理人は考える。和食の場合、例えば「一汁三品」が伝統的。

 それと似たように、集めた学術文献の全体像を把握しないとイケナイ。各論文のタイトル・アブストラクト・序論部・結論部だけを読んで、各々の「立ち位置」を理解し、集めた学術文献から成り立つ全体像を把握するように努める。(各文献のくわしい読解は後に回すとよい。)全体像をつかむためには、15冊の本よりも15本の論文のほうが早くできるのはおわかりであろう。だから論文テーマを絞るという目的のためには論文のほうが良い。テーマを確立してから、本を探せばよいのだ。

 このとき、紙一枚に論文一本をあてがって、その論文の中心的主張点(結論)、前提、キーワード、使用された資料や分析方法などを手際よくまとめていく。15本の論文があれば、15枚の紙が出来上がる。それらをつきあわせてみれば、これら文献の中の共通点や相違点が大づかみできる(とくに中心的主張点についてのものが大切)。そのうち、その全体像が浮き上がってくる。

 で、そのとき、各論文間に「中心的主張点についての論争」があるかどうか探す。ここがポイント。(たいていは、「当論文ははOOOO論に反対する」とかキチンと書いてある。)

 見つかればラッキー。なぜか。

 その論争に参加すれば、論文が含むべき必要な要素をほぼ自動的に自分の論文の中に取り入れることができるから。対抗しているどちら側につくのか、それはどういう理由によるのか、相手側に対していかにして自分の立場を防御するのか(たとえば資料面で)、整理しないといけない概念はなにか、そもそも誰がそのような意見をこれまで出してきているのか等々、整理しやすい。学部生のペーパーは事実や理論の羅列・解説だけになりやすいが、それを避ける簡単な作戦は、論争に参加するようなペーパーを書くことなのである。いいかえれば「学術文献から成り立つ論争をみつけ、その全体像を把握し、それに参加すること」がオススメの方針。

 ただし、この作戦は日本語の文献ではむずかしいかも。というのも、日本語文献では論争があまりないので。英語文献では比較的見つかり易い。

 実は、わたくし自身、学生に対して「一番の近道は論争をみつけること。みつけられないテーマは選ぶな。論争があるテーマを選ぶのが最善の作戦」と最近では指導している。ごちゃごちゃ説明するより、これがスッキリするのだ。

 これが4年生むけ。3年生に対しては、あらかじめ論争があるとわかっているテーマをいくつか並べておいて、「このうち一つ選べ」ということにしている。
 
 論文のテーマをみつけるには別のやり方も、当然ある。例えば、前に紹介した The Craft of Research という本がおすすめ。

 ということで、「15本の文献を図書館で集めて、その中の論争を探せ!」論文のテーマでまよっている学生に対して、こうアドバイスしている。(もちろん、以上は文系のみの話なので、その点注意されたし。)

 
 

 
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テーマ : 教師のお仕事
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性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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