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大学院願書のミスマッチはやめましょう:その2

 このテーマについて、約半年前に書いた。

http://professorx.blog47.fc2.com/blog-entry-173.html

 今、大学院願書作成のシーズン。「おいおい、ミスマッチではないかいな」というケースを、見かける。というか、実はこれ常態化している。ミスマッチのまま願書提出すると、よっぽどのことがない限り、「沈没」。

 つまり、外国から北米の大学院に申し込みたい学生たちによくある問題で、いわゆる「分野の壁を越えよう」とするもの。いうなれば「越境希望者」。

 どういうことか。

 文系において、カナダ・アメリカの大学では伝統的学問の学部(経済学、政治学、社会学など)と学際的な学問の学部(情報文化学、犯罪心理学など)とに分かれている。前者は discipline とよばれて、各々独自の学問体系を形成している。後者は interdisciplinary studies と呼ばれる、いわば「寄り合い所帯」。日本での「総合政策学部」とか「国際関係学部」とかは、この後者にあたる。(教員リストみてごらんなさい。歴史学者、政治学者、経済学者など様々でしょ、そういう学部では。)

 まず、伝統的学問の学部。大学院レベル(とくに博士課程レベル)になると、それまでよっぽどその分野での訓練を受けいていないと到底うまくいかない。となると、これら学部間の移動はかなりむずかしい。例えば、学部で政治学部だったけども、大学院で経済学部に行くのは並大抵ではない。それに輪をかけて、大学院に入るのは大競争状況である。バトルの世界。「他の願書は経済学部の学生からだけど、私のは政治学部から」という不利な状況で、入学を勝ち取るのはよっぼどのことが無い限り、普通は無い。

 次に伝統的学問の学部と学際的学部との関係。後者は寄り合い所帯なので、前者から後者への移動はOK。その逆は無理っぽい。例えば、学部で国際関係学部なんだけども大学院で経済学部に移動というのは、イバラの道。つまるところ「君、経済学の十分な素養・訓練なしでどうするつもりだ」ということで却下される可能性が高い。それにここでも「大学院入学審査はバトル」という状況。「越境希望者」は英語で言う uphill battle に直面する。

 逆に、伝統的学問から学際的学問への「越境」は、その逆と比べれば比較的スムーズ。上の例を続けば、経済学部から国際関係学部への進学においては、uphill battle はあるかもしれないが極端なレベルのものではない。

 ということで、こういった学部間・分野間の見えない「学問の壁」がある、カナダ・アメリカでは。「越境成功」という例外も無いことない。(それに地理学とか歴史学とかは実は伝統的学問でも、チト学際っぽい。)だけど、基本はこう。

 なので、外国人学生がカナダ・アメリカの大学院に申し込む際、こういったことを知らずに「越境希望者の願書」を出しても無駄玉となる確率が高い。越境ではない場合でも、大学院入学プロセスはそもそも一大バトル。同じ分野にとどまっていても、それに勝てるかどうか定かではない。であれば、「越境希望者の願書」が成功する望みはほぼ無いと思ったほうがよい。(それに加えて英語力の問題もあろうーー新しい分野に移動するには母国語でもなかなか難しい。)

 外国人学生からメールで、「センセーの学部・学問に興味関心があります。センセーのところの大学院、申し込みたいんです。センセー、指導教官になっていただけませんか(ただし、学部では畑ちがいの分野です)」という連絡がよく来るのがこの季節。ここで書いたような内容を返信して説明している。

 「ご自分が訓練をお受けになった学問分野での大学院に申し込みなさい、カナダ・アメリカの大学院に進みたいのならば。それが一番の近道です。Good luck.」

 

 
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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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