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STAP問題の底に潜む制度の問題

 最近、タイトルに出ている問題を考えさせられる大変良いエッセイを見ました。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4264

 筆者の市川家國教授は理化学研究所・研究不正再発防止のための改革委員会委員の方。アメリカでも教鞭をとっておられました。STAP問題の制度的本質をえぐりだすエッセイだと思います。私も分野が異なるものの、読み応えを感じました。

 学生の目からは分かりづらいと思いますが、大学あるいは研究機関というのは、一種の官僚組織です。そこの主要構成員――つまり学者たち――が運営するのですが、そもそも学者は研究・教育のための訓練は受けていても経営管理の訓練は大学院時代には受けていません。就職してからもそうです。しかし、組織に長くいれば、そういう人たちの中から経営手腕がありそうな人が互選の結果選ばれて長になり、組織を運営していくこととなります。研究者としては超一流でも組織経営手腕はダメという場合も当然出てきます。

 組織を運営する上でいろいろな問題に遭遇するのですが、組織内の不正疑惑に対する対応、つまり仲間が起こした不正疑惑への対応が、いうなれば一番いやなものです。とりわけ研究活動に関する大型なもの。つまり、外部からは「組織ぐるみではないか?」と思われかねない、多数が関わっているような不正疑惑。一種の危機管理的状況ですね。他の組織の場合と同様、そういったときに長たちが右往左往したり、組織防衛に走りがちなのは、想像に難くありません。学者も「組織人」として動いてしまうのです。その結果、外部からみれば「?」と思わざるをえない行動をするときがあります。これは官僚組織に見られる病理現象の一つです。

 政治学では「政府=官僚組織」「官僚組織の病理的問題=政府特有の問題」というかんじで、政府のことを学生時代に勉強します。ところが実際に大学や研究所に勤めると、自分の所属する組織も官僚組織で、学生時代に習った「病理現象」がなんと自分の組織にも当てはまることを思い知らされるわけです。(もちろん、社会学者なら当然と思うかもしれませんが。)今回のSTAP問題をめぐる関係組織の行動を――それに福島第一原発問題での東京電力の行動も――官僚組織特有の行動として眺めていましたが、市川教授のエッセイで再確認できました。

 このエッセイの最後にある次の文章は、(日本では勤務していないものの)大学人のワタクシにとってとりわけ含蓄があり、心に響きます。

 「小保方氏は日本のアカデミアのパンドラの箱を開けた。たくさんの低品質の学位が乱発され、今も乱発されていること。そして、研究機関が、共同研究・知的財産等の多くの近代的問題を抱える中で、その管理に必要な訓練・経験を積んだ人材を育てていないこと。この2つの不都合な真実に我々はどう向き合っていくべきなのだろうか。」

 

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性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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