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本音アドバイス:文系学術論文の読み方

 文系学部でも3年生、4年生になれば学術論文を読まなければならないことが往々にしてある。これらは academic journal articles で、審査(査読審査という)を経たうえで学術誌に掲載されているもの。学者(教授職にあるもの)は、学術誌で論文を発表することを生業(なりわい)としているのだが、それを学生が教材として読むわけ。
 セミナーなどで教官が「ハイ、では読んできた論文Xの骨子はなにか、一口でまとめなさい。ホレ、そこの君。どう思う?」といったような発言でもってクラス討論が始まることが多い。学生としては、論文の骨子を理解していないと討論に参加できないので、論文の読み方はマスターしておく必要がある――これ、必須。

 「ハァ?論文の読み方?センセー、そんなの最初の文章から逐次よむのにキマッテイルんでしょ!?」

とあなたは反応するかもしれない。

 「ちょおっーと、マチナサイ!だぁいたい、やぁーねー・・・」

おっと、失礼しました。つい、なんとか健一センセーの口調になってしまいました。
 ゴホン・・・「最初から読む」といった方法でやっていけるのは、たぶん心理学や経済学といった「科学化」された分野だけ。それ以外の文系分野では、実はそうではない。ただタンに「最初から読んでいく」という作戦では、高度な論文の議論についていけず、途中でチンプンカンプンになってしまう可能性が大。
 そこでヒントを授けよう。
 まず最初に論文は「学術作品」として捉えるべし。
 つまり、一つの彫刻のように基本的な構造があるのだ、論文には。だから、その構造をまずは把握し、それから細部を探るのが効率的な読み方となる。実は執筆する側もそのように想定して「学術作品」を作成しているのである。
 その基本的構造というものが、骨子(英語でいう central thesis )であって、いわば「背骨」にあたる。いうなれば著者の中心的な主張点。たいていは論文の題、アブストラクト( abstract 、要旨)、序章、結章に書いてある。だからまずはそれらの部分を読む。いいですか、論文の筆者が一番いいたいこと、それが central thesis でそれを理解するのがまず最初。これができなければ、他のことは一切、意味がありません。
 そして central thesis は一つしかないことに要注意。要注意ですゾ!
 「一論文= one central thesis 」が鉄則。これ、忘れるべからず。
 そもそも論文というのは「一つのcentral thesis をいかに説得力をもって展開するか」という形で構成されている。だから次の作戦は、見出しや小見出しを読み、さらには各パラグラフの一番最初(ときには一番最後の文章)を読んでいくこととなる。そのような各パラグラフ上の鍵となる文章をトピック・センテンスというが、それのみに集中して「議論の全体の流れ」を掴むのである。
 この時点で central thesis は何か、それを立証するための証拠や論拠は何が使われているか、さらには、反論に対しては筆者はどのような再反論を展開しているか等々の基本点がつかめる。そうなれば論文をあなたは「理解した」こととなるのだ。(メモをとるとよい。)
 これで、論文の要旨は掴めた(はずである)。
 そんでもって、批判的検討と進む。
 Central thesis に論理上の矛盾はないか。そこで使われている基礎概念は明確か。提出されている証拠や論拠は説得的か(注もくわしく読むべし)。筆者が展開している「反論・再反論」に矛盾やおかしな点はないか・・・・。こういう形で論文を分析していくのである。(上記のメモが役に立つ。)そのために、「最初から全文読む」こととなる。この時点では
central thesis が頭に入っているので、そして「批判的に議論を吟味する」という目的があるので集中できる。(必要なら、作業をくりかえす。)

 「センセー、ということは何回も同じ論文を読むわけですか!?」

 「そぉーなんです、学生さん」(中高年の読者の方なら昔のアフタヌーン・ショーで「そぉーなんです、カワサキさん」という、あの口調を思い出していただきたいーーけど、まあ若い人たちにはわからないでしょうなー・・・。)

 ということで(ちょっと「寒い脱線」をしてしまったが)、論文を一回だけ「初めから最後まで」読めばOK,というわけではないということは、おかかりいただけたと思う(オッと、ヤヤコシイ文章。ちょっと舌を噛みかけてしまった)。
 何回も「読む」こととなるのだが、毎回、「読む」目的を変えるのだ。少々、時間がかかるが、その結果、論文の全体像が把握できて、あなた自分自身の意見を持つことができるようになる。セミナーで発表できるようになる。鼻の穴を膨らませて、「どうだ、マイッタカ」と級友たちの前で大きな顔ができる!セミナーで「わかりませーん」とか「・・・・(無言)」といったチョー悲惨な状況は回避できる!(実際、あなたの討論参加度は教員に採点されています。)
 ちなみに、英語が第一言語の学生たちでも、以上のような「論文の読み方」をわかっていない者は多々いるーーいやほんと、タクサーンいるーーので、留学生のあなた、メゲることはないですよ。訓練すればできます。いやほんと。
 それに、ここで解説した「読み方」は「書き方」のいわば応用形。「書き方」がわかれば「読み方」もわかるというわけ。「書き方」については昔のコラム「本音アドバイス:ペーパーを書く前に」を参照されたし。
 では諸君の成功を祈る。

 
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テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

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Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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