スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

プロフェッサーとは?(3完)

◆専門分野を説明するのはムズカシイ

 さて――ツッコミを無視して続けよう――日本語の便利なところは、博士号を持っていてもいなくても、そして博士号が和製でも、あるいはそうでなくても、大学教授を「センセー」とさえ呼べば全てがまるーく収まることである。英語でも「プロフェッサーなにがし」とすればツツガナイ。「なにっ!?」と目くじらを立てられることがない。わたしも「おたくの職業は?」とカナダで尋ねられたら、「アイ・アム・ア・プロフェッサー」で済ましている。   
 問題はそのあとである。
 同業者以外の人に研究分野を説明するのは、一筋縄ではいかない。実際は学問がたいへん細分化された結果、幅が狭いことを研究しているのが普通である。しかし、そのようなビミョーなことはプロでない限りわからない。同じ大学教授でも分野が異なればわからなくなるのに、同業者以外の人間に説明するのは一時間ほど講義することとなる。それではどうしようもない。
 もっとも、非同業者からの質問は「ご専門は何ですか?」よりも「教えている科目は何ですか?」という形をとりがち。底にあるのは「教授=教員(教育する人)」という発想で、教授職は教育の他、研究もするとわかっていないか、わかっていても研究という活動がピンとこないからこのような質問が出てくる。いずれにせよ、最近やっている研究をくわしく話すのは専門用語を使わなければ難しいので、おもいきって単純な言葉で「だいたいこのようなことをやっています」といっておくのが無難。
 例えば、わたしの場合、「国際政治を勉強しています。まあ、戦争と平和いった問題を取り扱う学問です。ということで外交官とのお付き合いが多いです。」といっておくと、たいていの非同業者の人はわかったような顔をしてくれる。
 これは北米の非同業者の場合だが、北米人からみればわたしはガイジン教師であるので、「大学で教えている」といえば、すぐ「日本語教えているのか?」というふうに問われることが多い。で、「いいや、国際政治学です。」ということで上で述べたフレーズを繰り返すこととなる。で、向こう側は「ふーん」と分からなくても分かった顔をして一見落着、こうなるわけである。

◆これも舛添センセーのおかげ

 他方、日本での場合。
 しばらくは「国際政治学」というのが若い人はいざしらず、中高年の非同業者の方々にとっては、なじみが薄い学問であった。
 わたしも、その昔、高年の叔父、叔母に説明するのに手間取ったものである。関西のオッチャン、オバチャンに説明するわけであるから、半分、漫才のようになることが多かった。
 「そんで、なに勉強してんのん、アメリカで?」
 「国際政治学や。コ・ク・サ・イ・セ・イ・ジ・ガ・ク。」
 「なんじゃそれ、コクサイ・・・・外国のこと勉強すんのか?」と叔父。
 「セイジガクて、政治家なるんかいな?」と叔母。
 「・・・・」(どうして説明してよいやら、思案してしまい沈黙。)
という次第。
 母方の祖父が存命のころは、もっと強烈だった。
 「よっ、われっ、なんの勉強やっとんじゃ、よっ、ワレッ!」
 奈良県は磯城郡である(天理市の近く)。あのあたりは河内弁の影響があって、わたしも思わず「わっ、うちのおじいちゃん、『河内のオッサンの歌』のせりふと同じ口調や!」と仰天したものである。(「ビールでも飲んでいかんかい」とまでは祖父はいわなかったが。)
 ということで昔は苦労した。
 戦争のことを話すだけで「おまえはウヨク」という烙印を押されかねない雰囲気がいまだにあった一九八〇年代の日本では、「戦争がどうした、外交がどうした」というのは立派な学問ではなく、なんか政治的で胡散クサーイものという印象が強かったのである。そのような状況では、国際政治学といっても、ピンとくる人はあんまり多くなかった。しかも北米でやるような社会科学理論ガチガチの国際政治学は。
 しかし、今は一言ですむ。
 世の中、かわったのである。
 「ほーら、あの舛添サンみたいなことやっている」といえば、うちのオッチャンやオバチャンたち、皆、スーッとわかってくれる――あるいはわかったような気持ちになってくれる。ぐちゃぐちゃ、細かい説明をしなくてすむのである。
 いうまでもなく、これは舛添要一先生のオカゲ。この元東京大学助教授、参議院議員になるまえに「国際政治学者」という肩書きをつかってテレビに頻繁に出ておられた。ありがたいものである。テレビのパワーはすごい。
 それでわたしの叔父、叔母連中でも、「ああ、そうか舛添サンみたいなのか」となるのである。
 で、連中、ノタモウタ。
 「そういえば、なんとはなしに顔つきも舛添サンみたいになってきたんチャウか?」
 そうか、キリリとした顔になってきたのか、と内心よろこびながら、わたしは澄ました顔で返答した。
 「えっ・・・どこが?」
 「ア・タ・マ」
思わず頭髪をおさえたワタシであった。            
スポンサーサイト

テーマ : 海外留学
ジャンル : 学校・教育

コメント

非公開コメント

プロフィール

プロフェッサーX

Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。