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学会とは(2)

 「それはいいから、セッションの内容、はよおしえて。なにするのん?」
という大阪のオバチャンからのツッコミが入るまえに、論文発表のセッションの内容を説明しよう。
 一セッションに五人ぐらいの発表者がいて、持ち時間は一人なんと一〇分のみ。短すぎるが、五人もいればそういうことになざるをえない。そのあと討論担当者が各発表に批判的コメントを加え、それに反論する機会が発表者に与えられる。しめくくりは、聴衆側(10人から100人程度)を交えた質疑応答。このプロセスを司会者がなんとか九〇分以内に終了させる、こういうわけである。
 論文発表者は、論文ーー長さは8,000-10,000 words 程度ーーをあらかじめ学会事務局に提出する義務がある(討論担当者は読了してからセッションに参加する)。
 ということで、いかにして聞いている者の関心をひいて、「なるほど、この発表者の論文は読む価値がありそうだ。研究大会が終わればじっくり読もう」と思わせるかが発表のコツ。
 これをゼーンゼン理解しないで、一〇分の間に論文の内容をすべて話そうとする学者センセーがいる――できるはずがないのに。そうなれば、聞いているほうは、情報過多となり、発表者がなにを言いたいのか、まったく分からなくなってしまう。
 最悪の場合、コーフンのあまり、発表の途中でも部屋から出て行く聴衆のセンセーもおられる。これ、ほんと。「ふん、ツマラン!」と席を立つのである。(そんなの無視して発表を続ける度胸を発表者は持つべし。)
 発表の内容を「簡潔で主旨・骨子のみに絞ったもの」にしようとしても、一〇分でまとめるのには前もって練習することが必要であるのは、想像に難くないであろう。
 で、発表が終われば質疑応答。
 その際には罵声――は飛び交わないものの、チンプンカンプンの質問が出てこないこともない。(それを頭の中ですばやく整理するのも発表者が持つべきワザのうち。)   
 中にはセッションの内容にはまったく関係のない、自分の研究をトウトウと演説する学者センセーもいる。これ、本当の話。皆の目が「ひこニャン」のごとくテンになっても、トウトウとしゃべっている。そのような場合、司会者が制止役となる。
 議論に興奮したあまりパンチが飛び交う――ことはない。まあ、紳士的・淑女的ではある。
 ということで、各発表者が持ち時間をキッチリ守るように、それに質疑応答が生産的なものであるようにリードするのが司会者の仕事となる。それは、ライオンを鞭でつかいこなす猛獣つかいのごとし――とまではいかないものの、司会者の指導力(それにたまにはユーモア)が求められるのは理解できよう。
 参加者は大学関係者がほとんどであるが、少数派として政府役人(文官に軍人)やNGO代表などもいる。ときには普段うかがいしれない諜報活動に関するセッションなどあり、「元スパイ」が昔話を披露したりして興味がつきない。
 セッションのテーマであるが、国際関係論というのは様々なことを研究する分野で、幅が広い。例えば安全保障の問題(いわゆる「戦争と平和」の問題)、国際政治経済問題(「富と平等」の問題)、さらには倫理問題(たとえば「主権を超えるような権利――例えば人権――は国際社会でいかにあるべきなのか」)といったような一般的な事柄に関する様々なセッションがある。かと思えば、各地域・国・事件・問題領域(イッシューというが、例えば国際環境問題といったようなもの)を取り扱うもの、さらには方法論に関するセッションと、これまた様ざまである。ということで、自分の関心分野以外に関するセッションも数多い(というか、それらがほとんど、というのが実態)。
 例えば最近のISA研究大会のプログラムを開けてみれば、大会一日目のところにに次のようなセッションのタイトルが見つかる。(日本語に意訳してある。)
 「世界規模な保健問題に対していかに組織的に対応していくか――知識・言説・実務対応の諸問題」
 「国際政治理論における様々な分裂――橋渡しの可能性をさぐる」
 「東アジアにおける安全保障問題」
 「人権と戦時法」
 「NGOと市民社会」
 「欧州連合と『新しい』脅威」
 「女性と国際連合」
 「軍事革新の源泉」
とまあ、こういった具合である。
 このようなセッションを一日五つこなすわけであるが、すべて自由参加なのでセッションに参加しない時限もある。また、自分が発表する予定なら、事前に準備をしなければならないので、それに時間をとられる。街にもくりだしたいし、家族のお土産を買わなくてはならないし・・・・ ということで、全てのセッションに参加できないのが実際のところである。
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テーマ : 教師のお仕事
ジャンル : 学校・教育

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Author:プロフェッサーX
性格は理系クンに限りなく近い文系学者。仕事の合間をぬって魚釣りにいそしみ、カナダの大自然をエンジョイしている。

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